ブックフェア - ブリーヴ 2018

ブックフェア - ブリーヴ 2018

ブックフェア : ワークショップ・サイン会 | 2018年11月 | ブリーヴ (フランス中南部)

ブックフェア - ブリーヴ 2018

サイト:Foire du livre de Brive

map Brive

2018年11月、フランス中南部ブリーヴでおこなわれたブックフェアに参加しました。 2016年以来、2度目になりました。(前回のレポートはこちらです)

フランスで2番目の規模を誇るブックフェアで(ちなみに1番は毎年3月にパリで開かれるフェア)、今年で37回目。 児童書だけではなく一般向けの小説やバンド・デシネ(マンガ)など書籍全体が会場に並び、 300人以上の作家の合同サイン会が土日の2日間かけておこなわれ、入場者数はのべ7万に上ったそうです。 また、児童書の作家たちはサイン会に先立ち、前日の金曜に現地の学校をおとずれて、 読み聞かせや討論会、ワークショップなどをおこないます。 サイン会に著名な小説家が多数参加するため、フェア期間中ブリーヴ市内はお祭り状態となり、 道は渋滞、ホテルやレストランは軒並み予約でいっぱいになります。 とてもにぎやかで華やかなブックフェアなのです。

木曜の午後にパリから急行列車に乗って、夜8時にブリーヴ駅に到着。 2年前と同じ駅前のホテルに児童書作家のほとんどがチェックインし、 そのままホテル1階のレストランで開かれた懇親会に参加しました。 ここで仲良くなった作家同士で翌日からの3日間、食事の際に行動を共にすることになります。 私はたまたま隣に座った作家たちと意気投合、 翌日一緒にランチに行こうということになりました。

一夜明けて金曜は「地域の子供たちとの交流の日」です。 児童書作家たちは朝8時半、それぞれフェアの方々の送迎車に乗り込み ブリーヴ市内外の幼稚園や小学校、中学校などをまわりました。 私は1日で4つの幼稚園を訪れ、絵本「おやゆびひめのぼうけん」にちなんだ ことばあそびとお絵かきのワークショップをおこないました。 どの幼稚園もそれぞれちがい、最初はとてもおとなしかったのに最後は元気いっぱいになるクラス、 のんびりほのぼのとした雰囲気のクラス、先生の指示をよくきいてしっかり学ぶ雰囲気のクラスなど、 さまざまでした。
夕方5時、学校での「交流」が終わった作家は全員フェア会場に集合。 そのまま夜8時までサイン会をおこないました。

土日は朝から夜まで、フェア会場でサイン会です。 2年前と同じく、会場入り口前には朝から何百メートルもの行列ができていて、 この地域の人たちの読書好きにはびっくり。 そして金曜に訪ねた幼稚園の先生や子どもたちと再会したり、 ブリーヴ在住の日本の方が来てくださったり、 うれしいことがたくさんあった2日間のサイン会でした。

ところで、このブリーヴのフェアは食事のシステムが独特です。 フェアから作家に「1食25ユーロ(約3200円)分のお食事券」3日分とレストランリストが配られるので、 ランチとディナーはリストの中から自分の好きな店を選んで食べに行き、支払いはお食事券で済ませます。 なんといってもブリーヴはフォアグラや鴨料理の名産地であり、 フェア期間中はどのレストランも特別メニューを用意しているので、 食事もこのフェアの楽しみの1つなのです。 ただし期間中はどこのレストランもすぐいっぱいになるので、事前に予約が必須。 毎回サバイバルではありますが、さいわい私たちのグループには段取りに長けた人がいたので、 彼のおかげで食いっぱぐれることはありませんでした。ありがとうフロリアン!

にぎやかなお祭りが終わりに近づき、日曜の夕方に作家たちは帰途につくのですが、 ここでまたブリーヴのブックフェア名物「パリまでの宴会列車」が駅で私たちを待っていました。 8両編成の作家貸切の新幹線TGVでは、4時間の移動中、食堂車からアペリティフやディナーが運ばれて来たり、 「コンサート車両」に集まった作家たちがミュージシャンの演奏に合わせて2時間大合唱したり(写真の右下)。 ただし曲目はジョニー・アリディやダリダなどフランス人なら誰でも知っている60〜80年代ポピュラーソングばかりで、 日本育ちの私がかろうじて歌えたのは唯一「オー・シャンゼリゼ」だけでした。 それでも著名な作家たちが上機嫌で熱唱する様子はとても楽しそうで、 こうしてみるとお酒とカラオケが好きなごくふつうの人たちで、 フランスのブックフェアは作家の素顔が見られるいいイベントだなぁとつくづく思いました。

もしもまたブリーヴのフェアに呼んでいただけることがあれば… その時にそなえて、フランスの懐メロを少しは覚えておきたいと思います!